2026年8月8日、福岡で九州初となる「薬学むすび」を開催しました。
九州・中国地方から40名を超える薬学生が参加し、福岡・佐賀・長崎・熊本・沖縄など、地域医療を支える企業の皆さまと多くの交流が生まれました。
第1回では福岡開催の様子、第2回では薬学生採用における「対話」の重要性をご紹介しました。
シリーズ最終回となる今回は、イベントを通じて感じた**「薬学生から選ばれる薬局・企業になるために大切なこと」**について考えます。
採用条件だけでなく「そこで働く意味」を伝える
薬学生の就職活動では、給与や休日、勤務地、福利厚生、研修制度など、さまざまな条件が比較されます。
企業として、こうした情報を分かりやすく提示することはもちろん重要です。
しかし、条件面だけで他社との差別化を図ることには限界があります。
そこで大切になるのが、「自社で働くことで、どのような薬剤師になれるのか」を具体的に伝えることです。
たとえば、
「地域の患者さんと長く関係を築ける」
「在宅医療を通じて多職種と連携できる」
「若いうちからさまざまな業務に挑戦できる」
など、それぞれの薬局や企業には独自の特徴があるはずです。
採用活動では、制度や待遇だけではなく、その企業だからこそ得られる経験や成長を言葉にして伝えていくことが重要です。
「何を伝えるか」と同じくらい「誰が伝えるか」が重要
今回の「薬学むすび」でも印象的だったのが、薬学生と企業担当者が直接話す姿でした。
企業の説明を聞くだけではなく、学生から仕事内容や職場環境について質問し、企業側が自身の経験を交えながら答える。
こうした対話によって、採用サイトや求人票だけでは伝わりにくい企業の雰囲気が学生にも見えてきます。
特に薬学生にとって、年齢の近い若手薬剤師や現場で働く薬剤師の話は、入社後をイメージする貴重な情報になります。
「なぜこの会社を選んだのか」
「新人時代にどのような経験をしたのか」
「どのような患者さんと関わっているのか」
実際に働く人の言葉には、その企業の文化や価値観が表れます。
だからこそ薬学生採用では、採用担当者だけに任せるのではなく、現場の薬剤師や若手社員も採用活動に関わることが、自社の魅力を伝える方法の一つになります。
中小薬局だからこそ伝えられる魅力がある
薬学生の新卒採用では、大手企業と地域密着型の中小薬局が同じ採用市場で学生との接点をつくることになります。
知名度や広告量だけで比較すれば、大手企業が有利に見えるかもしれません。
しかし、中小薬局には中小薬局だからこそ伝えられる魅力があります。
経営者との距離の近さ、地域とのつながり、一人ひとりの成長に合わせた教育、若手の意見を反映しやすい環境などです。
大切なのは、大手企業と同じ魅力を伝えようとすることではありません。
「自社だからこそ提供できる薬剤師としてのキャリア」を明確にすることが、採用ブランディングの第一歩になります。
採用は「学生との関係づくり」
これからの薬学生採用では、合同説明会に出展して終わり、求人情報を掲載して終わりではなく、その後の関係づくりも重要になります。
合同説明会で出会い、企業を知ってもらう。
興味を持った学生に店舗見学やインターンシップへ参加してもらう。
現場の薬剤師と話してもらい、さらに企業への理解を深めてもらう。
こうした一つひとつの接点を丁寧につないでいくことが、結果として採用につながっていきます。
「何人集めたか」だけではなく、「何人の薬学生と深くつながることができたか」。
この視点を持つことも、これからの薬学生採用では重要ではないでしょうか。
薬学生と地域医療の未来をつないでいく
「薬学むすび」が目指しているのは、単に薬学生と企業を集めることではありません。
薬学生が自分に合った働き方や企業と出会い、地域で医療を支える薬局・病院・企業が、自社の想いに共感する学生と出会える。
そんな機会を全国につくっていきたいと考えています。
一つの出会いが、一人の薬学生のキャリアを変えるかもしれません。
そして、その学生が将来薬剤師として地域で活躍することで、患者さんや地域医療の未来にもつながっていきます。
薬学生の未来と、地域医療を支える企業の未来をむすぶ。
「薬学むすび」はこれからも、薬学生と薬局・病院・企業が互いの想いや価値観を知り、より良い出会いにつながる場づくりを全国で続けてまいります。